DHPの発想

デザインハウスプロジェクト(DHP)が企画されるきっかけは、このサイトのプランナーと建築家とが出会い、そして住宅の建築にいたることで始まりました。竣工した家は鉄骨ユニットを組み合わせたシンプルかつスタイリッシュな箱型、内部には最小限の設備を設え、住人が住みながら生活に合わせてつけたし成長してゆくものでした。それは幾つかの媒体で紹介され、独立して事務所を抱えたばかりの建築家としては順調なスタートだったようです。


Photo by Daici Ano



芦沢 啓治 (あしざわ けいじ)

1973 東京都生まれ
1995 横浜国立大学建築学科卒業
1996-2002 architecture WORKSHOP
2002-2004  super robot
2005 芦沢啓治建築設計事務所


芦沢啓治建築設計事務所
113-0004 中央区東日本橋3-3-17 202号
tel 03-5847-7770 / fax 03-5847-7771

info@keijidesign.com
http://www.keijidesign.com/

DHPの企画立案にいたる経緯とDHPの役割などについて建築家とプランナーに話を伺ってみました、 先ずは建築家の芦沢啓治さんです。


DHP事務局:

こちらの住宅が独立して初めての仕事だったとお聞きしていますが。

芦沢:

はい。どうやって生きていこうかと思っていた矢先でしたので、大変ありがたかったですね。いまでも、依頼をいただいたときのメールを保存しています。タイトルが「家屋設計の依頼」です。今思えば、随分固いタイトルですね。

DHP事務局:

コンセプトや特徴などをお教えください。

芦沢:

「使いたくなる家」だと思います。カスタマイズのしがいのある家ですね。実際クライアントは楽しんでカスタマイズしていたと思います。


DHP事務局:

クライアントさんからはどんな要望があったのでしょうか。

芦沢:

「家作りをしようと思う人が考え付く全てです。(笑)」 といっても、当たり前の話ししかしませんでした。車庫、大きな空間量のあるリビング、寝室、屋上、ゲストルーム、物置兼仕事場などなど。割と早い段階で、価値観を共有できましたので、あまり細かいことを言わないほうがいいと心得ていたのではないかと思います。

DHP事務局:

上手く行ったところ、失敗したところは?

芦沢:

どきっとする質問ですね。うまくいったところは、全てといいたいところですが、全てではありません。そこが失敗したところです。これでご勘弁ください。

DHP事務局:

注文住宅建設の成功の秘訣はなんだと思いますか?

芦沢:

コラム で、幸せな出会いと書きましたので、設計者と施主が既に出会い、仕事を進めていく上での成功の秘訣について、思いつくままお話します。
まずはお互いの信頼関係でしょうか。ありきたりですが、これが一番です。
それから長く付き合える人と仕事をすること。幸か不幸か(笑)一生の付き合いになります。作ったあとも、あれやこれやと設計者に連絡することは多いものです。もちろん作っているときでも、気軽に相談できる相手に越したことはありませんよね。
最後に、設計者の説明責任と施主の決断。この二点は四会連合協定の設計監理業務委託契約書の中でも謳われていることです。設計者は必要な事項について委託者の意向を確認しながら設計をすすめ、施主はその都度明確な応答を行うこととする。と明記してあります。これが、プロジェクトが大きくなればなるほど重要性は顕著ですが、注文住宅も立派なプロジェクトです。
上記 3 点、本当はもっと沢山あるのだとは思いますが、思いつくまま順番にお話するとそんなところです。

DHP事務局:

ありがとうございました。


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続いてDHPのプランナーにお話を伺いました。


DHP事務局:

クライアント側が感じる注文住宅建設の成功の秘訣はなんだと思いますか?

プランナー:

こういった、個性的な住宅を実現するためには必要なことがいくつかあると思うんです。一つは、芦沢さんもおっしゃっているようにクライアントと建築家の幸せな出会いではないかと思います。
注文住宅を手に入れる方法は、ハウスメーカー、工務店、建築プロデュース会社に依頼する方法など様々ありますが、デザインを優先した住宅で、出来上りに対する満足度や金銭的なメリットを考えた場合、理想的なのは建築家との協業による方法ではないでしょうか。しかも、相性が良い建築家との出会いが重要ですね。

DHP事務局:

芦沢さんに設計を依頼したきっかけをお教えください。

プランナー :

私の場合は、常々雑誌やWEBで見る北山恒さんが設計した集合住宅を気にかけていまして一度、本当に購入しようかと考えたんです。オープンルームなんかも出かけ 実際の雰囲気にも触れ、嫁と一緒に大変盛り上がっていました。しかしその物件が私にとっては高価すぎて(笑)。
そんな折、知り合いのデザイナーに誘われ出かけたあるイベントで芦沢さんを紹介されたのです。それは芦沢さんが参加している製作ユニットのイベント super robot 03 でした。


super robo03 の様子

芦沢さんと話をしてみると北山さんの会社で働いているというので驚きました、しかも来月独立するとか。設計を依頼する相手としてもタイミングもベストだったんです。
私は理論より感性の人間なので(笑)ピーンときまして、土地も持ってないのに 設計をお願いしてしまったのです。今考えるとかなり乱暴なはなしですね。でも、芦沢さんの作る作品のテイストもわかっていますし、北山事務所での仕事の話を聞いてプロジェクト管理能力もある方だと判断できましたので不安は全然感じませんでした。

DHP事務局:

その後プロジェクトが開始されるまでの経過はいかがでしたか?

プランナー :

それ以前から土地探しはしていましたが、建築家も決まってより具体的になりましたので、その後の土地探しには力が入りました。候補地が見つかると先ずは芦沢さんに連絡して現地を見てもらいその土地にどんな建物を建てることが可能なのか教えてもらいました。
土地を手に入れるのも縁ですから、直ぐには見つかりませんでしたけれど、いくつもの候補地を調べて、その宅地の持っている可能性広げる作業を芦沢さんとのやり取りで教えてもらいました。そのうちに私も色々とわかるようになって。それが結果的には良かったですね。芦沢さんの考え方ややり方もわかりましたし。

DHP事務局:

そしてプロジェクトが始まるわけですね 。

プランナー :

そうです、見つけた土地は川口市(埼玉県)にありまして、独立間もない芦沢さんは当時、赤羽(東京都北区)のご自宅を事務所にしていまたから、それが現場へ一駅の距離というのもラッキーなことでした 。頻繁に現場を訪れてもらえるというのはなにかと心強いものです。
芦沢さんとのやり取りは私の知らない領域の話が多くとても楽しいものでした、彼の人柄も私には大変合っていましたし、お互い酒呑み(笑)なので一緒に飲む機会も多く、すると建築以外の話にも脱線して結果的にお互いの理解を深めることに繋がったような気がします。


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DHP事務局:

プロジェクトを進める上での役割分担や事前の取り決めなどはありましたか?

プランナー :

特に話あったことは無かったと思いますが、私は私で、このころから単なるクライアントの立場には飽き足らず、 プロジェクトの方向性を決めるプロデューサーとしての意識が芽生えていましたので 素材や工法による予算監理の部分で建築家と一緒に考えるようになりました。
理想を伝えるだけの施主はたんなる「お客さん」ですが、こういった個性的な物件は微妙なコストバランスと知恵の上に成り立つものですから、時には予算監理の責任者が現場レベルの判断をタイムリーに必要とする局面が多いんです。たとえば、こんな床材がインターネットで本日ならこの価格で購入できますがどうしますか?とかメールが来るわけです。
私にお客さん意識が強かったら芦沢さんもこういった訊き方はしなかったでしょうが、私もここでのタイムリーな判断ができなかたら芦沢さんの仕事のテンポが崩れると思っていましたので即座に可否の判断をしました。いわゆるノリというやつですね。プロジェクトの成功には関係者のノリというか情熱が不可欠だと思います。他人事になっているスタッフがおらずクライアントを含めた全員の当事者意識が重要だと思いました。

DHP事務局:

その他で大切だと思ったことはありますか?

プランナー :

情報共有でしょうか。注文住宅建築におけるトラブルの原因の多くは、情報共有が上手く行っていないことなのではないかと感じています。メールやWEBによるタイムリーでグラフィカル、そして記録性のある情報共有手段が大変に役立ちました。
たとえば気になるデザインが見つかったとして、それは住宅に限らず自動車のパーツやオーディオ機器などモノの断片のデザインテイストのことですが、WEBであればその場でブックマークして置き、いつでも相手にメールで伝えることができます。デザインの好みなど言葉で表すことが難しいものこそ画像であれば瞬時に理解してもらうことが可能です、当たり前のことのように感じますが実はすごいことだと思います。また、先ほども言いましたが建材をWEBから安く簡単に入手することも出来ます。そしてその効果のほどを見落としがちですが、メールによる情報共有は、メールをタイプすることによって自身の考えをまとめたり、双方共有のメモ作成に他ならないので伝え忘れや間違いが大幅に削減できると思います。


DHP事務局:

そして、そういった経験が DHP の企画発想に繋がったのですね。

プランナー:

そうですね、自分にとって「理想的な建築家と出会い」、「情報共有」、「プロデューサー意識を持つ」、という3つの要素が注文住宅建設には大事だということがわかりましたので、それを実現するための器というか装置を提供することを考えたのです。
私の場合は建築家との出会う機会とその後の交流の機会に恵まれましたが、これは偶然だしラッキーなケースだと思っています、実際には中々出会うきっかけは無いでしょう。デザイン住宅ブームの昨今ではこういった住宅が頻繁に雑誌等で取り上げられていますが、建築家の方にお聞きしますと、雑誌をみて直接事務所に連絡してきましたというクライアントはまだ稀だそうです。クライアント側からのアプローチというのは馬力が必要です、もし合ってみて 建築家が想像していた人と違っていたら、相性が最悪だったら、と思うと躊躇しますね。断り下手の日本人ですし。
その点、SNSの仕組みは非常に都合が良いと感じています、出会いのきっかけとしては気軽に参加できるし、ましてやDHPはオープン型のSNSですから、参加する前にROM (リード オンリー メンバ)で様子をみることもできるのでクライアント側の準備ができて、自身の気分も盛り上がってから参加することができると思うんです。
また、建築家を含め家造りに関わるデザイナーの方々は表現者としてすばらしいポテンシャルを持った方が多く、こういった才能に既存のメディアというフィルターを通さずに触れることができる場所が出来るとすばらしいのではないかと思っていました。



このように、DHPは建築家と依頼者が実体験を経て発想し企画されました。参加者の方々が家造りプロジェクトの推進にこの仕組みを活用していただき、SNSの新たな可能性を広げて行きたいと考ええいます。


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